今年の秋は自宅の敷地内や農地、道路、公園など都市部、農村部を問わず、人の生活圏におけるクマの目撃や被害が大半を占め、県民の生命、財産、日々の暮らしや経済活動が脅かされる異常事態が続いている。このため県では、放任果樹の伐採はもとより児童、生徒の登下校時の安全を確保するため、警察や警備会社、PTA等との連携のもと、通学路や学校周辺における巡回、見守り体制を強化したほか、市町村に対し箱穴やセンサーカメラを貸与するとともに、緊急銃猟の適正な実施に向けた支援を行うなど、被害の未然防止に向けた緊急的な対応に最大限努めてきた。
他方で過去に例をみない大量出没により、クマの被害対策を担う市町村や現場で対応にあたる狩猟者等の負担が限界に達していることから、先般、防衛省に対し自衛隊の派遣について緊急要望を行い、今月5日から箱穴や駆除後のクマの運搬等の活動支援が開始された。
また、クマの捕獲にかかる財政措置やいわゆるガバメントハンターの確保に向けた環境整備、クマの個体数等を把握するためのモニタリング調査の実施など、実効性の高い対策を講ずるために必要な支援について関係省庁に要望を行ってきている。
こうした中、政府は全国各地で深刻化する被害に対処するため、クマ被害対策パッケージを取りまとめ、自治体への財政支援を拡充するほか、捕獲の強化や人とクマの住み分けに向けた施策の実現を着実に実行する方針を示した。県としては、パッケージの内容を踏まえながら国や市町村、猟友会等と連携し取り組みを充実強化するとともに、来春以降の市街地への出没防止に向けてゾーニング(安全性の確保などを図るための計画手法)作業を継続していく。
さらに、クマの生態等に関する知見の集積を図るほか、監視、捕獲の強化に資する技術の調査、実証等を進めることでクマ対策のパイオニアとして全国をリードしながら県民の安全、安心を確実に取り戻す。(午前11時20分)
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