第50回衆院選は27日、投・開票が行われ、本県小選挙区のうち秋田北地方を含む15市町村からなる秋田2区は立憲民主党前職の緑川貴士氏(39)が自民党新人の福原淳嗣氏(56)、共産党新人の山内梅良氏(76)を破り、3回目の当選を果たした。今衆院選は自民党派閥の裏金事件を背景とする政治とカネ問題に加え、物価高への対応などを焦点に秋田2区も激戦が繰り広げられた中、緑川氏の当選は自民党批判に対する受け皿になった形だ。 「政治刷新。政治に信頼を取り戻す」をスローガンに掲げて政治とカネの問題を強く批判しつつ政権交代を訴えた緑川氏は立民支持層のほとんどを固めたのに加え、無党派層はもとより自民、共産両支持層の一部にも食い込んだ。また、ほぼ全年齢層にわたって得票で優勢に立ち、比例東北ブロックで復活当選した平成29年(2017年)、一騎打ちを制して小選挙区で初当選した令和3年の前回衆院選に続く3度目当選を果たした。 当確の知らせを受けて午後8時すぎに選挙事務所で支持者らと次々と抱き合い、「万歳」に臨んだ後、緑川氏は「準備も非常にタイトなスケジュールの中で事務所スタッフ、そして遊説隊、本当に一丸となって戦うことができた。たくさんの政治への不信、政治腐敗を何とか防いでほしいとの声を受けとめてきた。本丸である企業、団体献金を廃止するということを各野党が訴えているところ共通しているところもあるので、しっかりと前に進められるように政策で一致するところは協力しながら政策の実現につなげていくことが非常に大事と感じた」と今選挙戦を振り返った。
一方、今任期を最後に政界を引退した自民党の金田勝年氏(75)の後継者として、大館市長を辞して立候補した福原氏は「秋田が拓く令和の国づくり」「人と物が行き交う日本の拠点秋田の創造」などを掲げて選挙戦に臨んだ。しかし、自民、公明両支持層から手堅く集票した半面、無党派層の多くが緑川氏に流れたことで伸び悩み、小選挙区では初陣を飾ることができなかった。ただ、同氏は自民党比例東北ブロックにも名を連ねており、比例で復活当選できるか、結果が注目される。 「裏金政治の大掃除」「国民のくらい最優先の政治にチェンジ」「憲法9条を生かした平和外交を推進」などを公約の柱に掲げた山内氏は、共産支持層を固めたものの知名度の低さなどから無党派層を取り込むには至らず、緑川、福原両候補に大きく水を開けられた形で苦杯をなめた。 秋田2区の当日有権者数は、3年前の前回選挙当日より1万4,502人少ない24万4,066人。投票率は同2.49ポイント低い58.74%で、3回ぶりに60%を割り込んだ。投票者数は14万3,357人、有効投票数は14万600票、無効は2,756票、持ち帰り・不受理は1票。
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