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令和5年(2023年)9月21日付
「病院等が遠くなる」

否定的見方が最多
 
医療圏の広域化で県民意識調査 

 

 県は20日、「医療圏の広域化」と「秋田県の医療」に関する意識調査結果を公表した。設問で二次医療圏広域化へのイメージを質したのに対し、最も回答が多かったのは「病院等が遠くなる」という否定的な見方。また、広域化された場合どのようなことが必要かという問いに対しては、病院までの公共交通機関や道路網整備を求める回答が唯一過半数を占めた。

 「秋田県医療保健福祉計画」の見直しを図る中で県は、一般入院に伴う医療を提供するための地域的単位となる二次医療圏を現行の県内8つから、同3つに広域化する案を想定して検討を進めている。

 秋田北地方関係では現行の県内8つだと大館、鹿角、小坂3市町を包括する大館・鹿角医療圏、北秋田、上小阿仁両市村からなる北秋田医療圏なのに対し、同3つでは大館・鹿角・北秋田・能代・山本の5エリアからなる県北が1つの医療圏に。

 医療圏の広域化について県は「現在よりも広い枠組の中で病院同士の役割分担と連携を話しあっていくことにより、医療資源の有効活用を図り、人口が減少しても引き続き県民が安定的に医療サービスを利用していける体制をつくりあげていきたい」と説明。それを踏まえて、広域化や本県医療についての考えを県民から求め、今後の取り組みの参考にしようと調査を実施したもので、秋田北地方の95人を含む407人から回答を得た。

 ただ、回答者の年代層は50代で114人、次いで多い40代で109人、合計で全体の54.8%と過半数を占めるのに対し、10代は2人、80代以上は1人と偏り傾向がみられるほか、回答者の居住地は最多の秋田市が85人なのに対し、仙北市、小坂町、八峰町は各1人、上小阿仁村は皆無など二次医療圏という重要なテーマのわりには地域バランスも欠いている。

 これについて県は「将来の秋田県の医療を考える上で幅広い年齢層から回答を得ることができた。秋田市の次に多いのは、北秋田市(67人)、湯沢市(40人)、羽後町(34人)などであり、それらの地域における関心の高さがうかがえる」との見解を示している。

 各設問のうち最初に掲げた「二次医療圏の広域化について、どのようなイメージをお持ちですか」(複数回答可能)に対する回答で最も多いのは「病院等が遠くなる」という否定的な見方で228人(56%)と、回答者の6割近くを占めた。次いで多いのは「人口減少下において必要なものだと思う」の193人(47.4%)の肯定派、さらに「病院等の再編や統廃合が進む」で190人(46.7%)の否定派と続く。

 以下、「病院等が少なくなる」の134人(32.9%)、「広域化により効率的な医療提供が期待される」の86人(21.1%)、「広域化して何が変わるのかが分からない」の68人(16.7%)などの順。

 「病院等が遠くなる」「病院等の再編や統廃合が進む」「病院等が少なくなる」のいずれか1つを選択した回答者は407人中314人(77%)にのぼっており、県は「二次医療圏の広域化が身近な病院に影響を与えるのではないか、といった不安を抱えている人が多いことがうかがえる」と分析。

 「広域化して何が変わるか分からない」も一定数いると受けとめ、「今後、県民向け説明会の開催等を通じて、見直しの趣旨等の周知を図っていく必要がある」とした。

 設問2の「広域化するとどのような効果が期待できると思いますか」(複数回答可能)では「人口が減少しても、病院同士の役割分担が進めば身近な医療が守られていく」の172人(42.5%)、「医師を確保する効果が期待できる」の145人(35.8%)が上位を占めた。

 また、設問3の「広域化する場合、どのようなことが必要だと思いますか」(必要だと思うことを2つまで選択)は「病院等までの公共交通機関や道路網が整備されている」が202人(50.8%)で過半数にのぼり、以下、「病院等の間で検査結果や治療内容などの患者の情報がしっかりと共有されている」の174人(43.7%)、「病院等の役割分担や、連携がしっかりと行われている」の156人(39.2%)、「デジタル技術を活用して遠く離れた場所でも診察を受ける体制が整っている」の121人(30.4%)などが続いた。 

 このほか、「医療機関を選ぶ際に、何を重視していますか」(特に重視していることを2つまで選択)は「信頼できる医師がいる・評判の良い医師がいること」が276人(69.2%)、「秋田県において、特に充実してほしいことは何ですか」(特に充実してほしいことを2つまで選択)は「さまざまな症状に対応し必要に応じて専門医につなぐ総合診療(総合診療医による診療)」が200人(50.4%)、「人口減少が進む中、秋田県の医療を充実させていくためにどのようなことに取り組むべきだと思いますか」(特に取り組むべきだと思うことを2つまで選択)は「医師や看護師など医療従事者の確保」が264人(65.7%)で、それぞれ最も多かった。  (午前零時)

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