どちらの血が濃い
 

 比内地鶏は原種比内鶏のオスとロードアイランドレッドのメスとの交配によって食用に作り出された鶏ですが、このコーナーでは比内鶏、ロードのどちらの影響を強く受けた比内地鶏であるか、その見分け方に少しだけ触れてみましょう。下に並んだ2枚の写真はいずれも生後約180日の比内地鶏のメスですが、いずれが比内鶏の血、いずれがロードの血が濃い方か、一見して言い当てられる方はなかなかの通です。

 といっても、見分け方はむずかしくはありません。鶏冠(とさか)の部分をご覧ください。向かって左側は小さめで平面的なのに対し、右側は立っている上に、何分割かしています。左が比内鶏の血、右がロードの血を強く引いた比内地鶏です。では、比内鶏の血が濃い方がロードの血が濃い方よりも価値が上なのでしょうか。結論からしますと、天然記念物であるという希少さからして、比内鶏は比内地鶏の何倍も価値が上ですが、比内地鶏はどちらの血が濃かろうが価値に違いはないと言えるでしょう。

 さて、愛玩用として比内地鶏を飼育している方にとっては食べるという感覚はないでしょうが、食用としての観点のみで飼育している方は、「より美味なのは比内鶏の血が濃い方か、はたまたロードの血が濃い方か」という疑問に駆られるのではないでしょうか。結論を述べるなら、味という価値からしても、双方にほとんど差はないと思われます。

 飼育の方法、餌など味に差が出る要素はいくつかありますが、その中の一つに何代目の比内地鶏なのか、という点が挙げられます。F1よりはF2、F2よりはF3が体格的に恵まれる傾向が強いですが、これに反比例してF1よりはF2、F2よりはF3と少しずつ大味になる傾向があります。これからすればF1が最も美味ということになりますが、より体格の大きなものに重点が置かれる生産体系になってきているため、市場にも高い比率でF3が流通している点は否めません。比内地鶏の肉を購入する段階で「これF1ですか、F3ですか」と訊ねても流通過程でほとんど分からなくなっていますので、生産者でもない限り、「これは○○ですよ」と自信を持って答えることはできないしょう。無論F3でも、比内地鶏が日本三大美味鶏の中核をなす味であることに変わりはありません。

 ちなみに、一番下の写真は比内地鶏のオスですが、これまでの説明でこの鶏が比内鶏の血、ロードの血のいずれを強く引いているかについては、容易に解答が得られると思います。お分かりにならない方は、ヒントとしてこちらのページの鶏をご覧ください。

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