食用に作られた比内地鶏のメスはすべて茶色ですが、原種比内鶏のメスの色は茶褐色と、クリーム色を基調とするタイプの2通りがあります。下の2枚の写真は、同じ比内鶏のオス、メスを別カットで撮影したものですが、右の写真をご覧いただいても首から下がクリーム色をした手前のメスと、オスをはさんで向こう側にいるメス(茶褐色)の色がそれぞれ異なるのがお分かりいただけると思います。また、左の写真はオスの体にメスの頭部が隠れてしまっていますが、メスの体の色の違いは右の写真以上に分かりやすいのではないでしょうか。
好みもあるでしょうから、どちらのメスの色が優れているとは一概には言えないと思いますが、比内鶏、比内地鶏の発祥地である秋田県大館市のベテランの興味深い見解をご紹介しましょう。「比内鶏の原形は野生のやまどりで、この鳥の体は茶褐色。それからすれば、比内鶏のメスは茶褐色の方が、より野生を残しており原形に近い」。
では、原種比内鶏のメスは、どちらの色の方が多いのでしょう。1羽、1羽数えるのは不可能ですが、発祥地の当地で見る限りでは、クリーム色の方が多い印象を受けます。つまり、前述のベテランが見解として示している「より野生を残しており原形に近い」茶褐色の方が少なめではないか、ということです。
同じ原種比内鶏でもオスにクリーム色はおらず、すべて茶色がベースですが、メスの茶褐色とはまったく異なり、メスとは比較にならないほど美しく鮮やかな茶色と、光の屈折しだいでは虹色がかって見える黒(尾、羽の一部、胸部、腹部など)が芸術的なバランスで配色されています。
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