デスクの独り言

第86回・2008年5月21日

不穏な旋回 

 5年以上も前から、気になっていることがある。"不穏"な自衛隊ヘリの飛行。なぜ、このような飛び方をしているのか、何とも不思議でならない。これに気づいた大館市民は、どれぐらいいるのだろう。

 自衛隊ヘリは、日に3度ほど、多い日では5、6度も飛来しているように思える。唐突に、強烈なプロペラ音をたてて大館市の上空に現れる。どこからか飛んできて、そのまま真っ直ぐどこかへ飛んでいくのなら、大館上空は単なる通過点と、気にも止めないだろう。

 しかし、注意深く観察してみると、あることに気づく。必ずといっていいほど、大館市中心部を1度、あるいは2度旋回し、元来た方向へ戻っていく。同市上空を旋回する際のプロペラ音は、かなり大きい。飛来は午前、午後、夕方と決まっておらず、とにかく唐突にやって来るのだ。なぜそれが自衛隊ヘリと判別できるかといえば、旋回時は高度が比較的低く、機体の両側に日の丸がくっきりと見えるためである。

 自衛隊秋田地方連絡部大館出張所に、電話で問い合わせたことがある。「大館上空に、頻繁に自衛隊のヘリが飛来しますけど、何か目的があるのですか」。受話器の向こうから返す言葉は、意外なものだった。「何もありませんし、飛んでも来ていませんけどねえ」。さながら、「よけいなことに関心を示すな」と言わんばかりの、腑に落ちぬ返事だった。

 ある市民にこのことを話してみたら、破天荒なことを口にした。大館の一地点から不穏な電波が出ている。それは北朝鮮のスパイで、国に暗号で情報を送っているらしい、という。上空から監視するために、自衛隊ヘリが頻繁に飛来しているのかも知れぬ、と。スパイ映画の見すぎだ、と一笑に付したものの、何があってもおかしくないこのご時世。それもありか。

 いずれにせよ、何年にもわたって自衛隊へりが大館上空を決まりごとのように旋回していくのは、尋常とは思えない。自衛隊がこの指摘に対し、答えようとしないのも解せない。機密任務を担ってのことだろう、と善意に解釈するのが国民の務めなのだろうか。

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大館上空を旋回する自衛隊のヘリコプター(20年5月21日撮影)