デスクの独り言

第76回・2006年11月13日

創刊2,000号雑感

 13年4月1日の正式創刊以来、おかげ様で当新聞社もこのほど、2,000号(2,000日)を迎えた。短いといえば短くもあるが、実感としては「長かった」という印象の方が強い。当初は、今の小学生が大人に、つまり20歳になったころには電子新聞が紙の新聞に取って代わっているであろうと考えていたが、今は「あり得ぬ」とすら思える。

 確かに、インターネットの勢いは強い。しかし、こと新聞に関しては「紙の新聞こそが新聞」という社会の感覚はなかなか変わるものではなく、同時に電子新聞は今の位置づけからすればまだまだ紙の付随的な存在でしかない、と納得せざるを得ない。いつ電子新聞に軸足を移してもいいようにWebサイトの充実に力を注ぐ新聞社もあれば、体裁上サイトを開設しているにすぎぬ新聞社、さらにはサイトをまったく持たぬ新聞社も秋田北地方をはじめ全国には少なくない。

 未だサイトのない新聞社はその存在価値を認めていない、あるいは手が回らない、急ぐ必要はない、という認識のいずれかに大別されるのではないか。当新聞社開設当初は、そうした新聞社に対して「時代に取り残されるますよ」と言いたい気持ちだったが、なぜか今はそのようなおこがましい意識はない。日々すさまじい勢いでインターネットを含むITが進化しながらも、電子新聞が紙の新聞を凌駕する時代はまだ当分先、と痛感するからである。

 さて、対行政で考えた場合、当新聞社の名で取材の申し込みをしてもほとんど違和感はない。大新聞社だから重視し、小さいから軽んじることはない、という印象を持つ。

 こうした中、日々感ずるのは取材に応ずる行政マン個々の、誠意の有無である。国の機関ほどしっかりしていると思える一方で、地方になるほど「やっぱり田舎役所だ」と評さざるを得ない面が少なくない。

 例えば、ある取材で電話を入れたとして、担当者が不在のため、戻ったら電話をかけさせると先方が約束した場合、中央省庁は出先機関を含めて100%これを守ってくれる。また、秋田県庁も本庁、出先とも、一部を除けばほぼ完全に近い。

 質の低さが否めないのは市町村で、中でも「これはどうしようもないな」といつも思わされるのは、鹿角地域の両教育委員会。「後ほど担当者から電話をさせます」と約束して、電話をくれた試しがない。

 一方、マンパワーの関係で議会の取材になかなか赴けないのに対し、鹿角地域の市の担当者は速やかに市長の行政報告書を提供してくれる。反面、同地域の町の担当者は「送ります」と約束しながら届かないため、「送ってくれるとのことですが」と夕方近くになって電話を入れると、別の職員が「担当者はもう帰りました」ということが立て続けに3度あり、「どうせいつものとおりだろう」と今では依頼もしない。

 "地場"の職員によってそうしたことが度重なると「やっぱり田舎は、そのレベルでしかないのか」と思いたくもなる。公務員とはいえ、当然のことながら個々の性格や誠意の有無などがそれぞれ異なるわけだが、報道関係者の少なからずが行政マンに期待するのは、民間とはまた違う「この職員は、取材では頼りになる誠実な人だ」という感覚ではなかろうか。誠意に富む行政マンに接すると、記者としてもどこかホッとする。

 そうした行政マンが中央省庁や県職員などのように、秋田北地方の市町村にも1人でも多くなっていくことを望みたい。無論それは新聞社や記者が行政マンに依存したり、べたべたするということではなく、あくまで「より良い関係の構築」という意味で、である。