稲刈り後に毎年後を断たない「稲わらスモッグ」に手を焼いている県など関係機関は、稲作農家への啓もうに今季も力を入れる。本年度は、秋田北地方の2市5地区を含む20市町村92地域を「稲わら等燃焼防止重点地域」とした。
県公害防止条例では10月1日から11月10日までの40日間を稲わら焼き禁止期間とし、禁止勧告に従わない違反者に対しては厳しい態度で臨むことになっている。県公害防止条例及び同規則に違反して稲わらやもみ殻を焼いた農家については「氏名を公表する」としているものの、その公表も「関係市町村と相談の上決める」にとどまり、実際には公表に至っていないのが実情。
ちなみに、令和6年度は稲わら焼きに関する苦情・通報が県全体で51件を数え、職員の巡回指導日数は延べ278日にのぼったものの、県公害防止条例に基づいて行為者に焼却の中止を勧告したケースは前年度と同様、皆無だった。
稲わら焼きなどのスモッグが市街地に流れ、目やのどに痛みを訴える人が出るのは毎年のこと。大気汚染のみならず交通渋滞や事故発生の危険性も伴うなど、例年さまざまな形で市民生活に障害を引き起こしている。こうしたことから、県は「焼却せずに県、市町村、JAの助言を得ながら有効活用に努めて」と喚起。
稲わら焼き禁止期間中、県生活環境部と農林水産部は関係機関との連絡調整や、稲わらスモッグ注意報の発令・解除、稲わらなどの有効利用に関する技術指導を行う。また、県の各地域振興局は重点地域を中心とした巡回指導や焼却禁止指導、苦情対応。
さらに、県警は稲わらスモッグ注意報発令時や視界不良時の交通安全措置、JAは農家に対する稲わら等の有効利用に関する技術指導をそれぞれ行うほか、県内各市町村も焼却禁止指導や苦情対応などに乗り出す。
県が決めた本年度の稲わら等燃焼禁止重点地域のうち秋田北地方関係は下段のとおりだが、25市町村中前年度と同数の20市町村を対象とするものの、対象地区は前年度の84地区から92地区に増やした。
秋田北地方は5市町村のうち大館、北秋田の両市から計5地区が対象。継続指定せざるを得ない地区も全県的に目立つことから、本年度こそは改善しない地区の稲わら焼き農家への厳しい対応が望まれる。(午前零時)
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