任期満了(4月19日)に伴う県知事選は6日、投開票が行われ、神戸市出身で前自民県議の鈴木健太氏(49)=無所属=が当確を決めた。今知事選は、有権者が刷新を求める結果となった。
16年ぶりに新知事を決める今選挙には鈴木氏、前副知事の猿田和三氏(62)=無所属=、無職の大久保範夫氏(73)=無所属=の3新人が立候補し、先月30日の告示当初から鈴木、猿田両氏による事実上の一騎打ちに終始した。
県議は保守分裂の様相を強め、自民党県連は早くから自主投票を決定した中での選挙戦に。街頭演説で鈴木氏は「この少子化、若者向けの対策ではない。秋田に住むすべての皆さんの生活に深刻な影響を及ぼす、本当に危機的な状況だ。みんな、やばいやばいと思っていたけれども、真剣にどこまで考えていたか。今まさに、そのことをしっかりと見直して本腰入れてテコ入れをして、秋田県にこの先見通しがもてるようにする、その機会がやっと来た」と訴え、県議18人などの支援を得つつ草の根運動を繰り広げ、県政の刷新を求める声が多かったのも追い風となって猿田氏を見事に打ち破った。
当確の報を受けて支持者らが詰めかける選挙事務所に姿を現した鈴木氏は、みんなで勝鬨(かちどき)を上げた後、喜びの弁を放った。この中で同氏は「秋田県民の皆さんが、やはり変わらないといけないと、そろそろ秋田も変わりたいと、そういう思いをとても強く心の中にいだいていたんだなと(感じた)。長年秋田県を覆ってきた閉塞感を一気に変えて、前向きにまだまだいけるよと秋田県の未来は明るいんだというふうに変えていきたい」と抱負を述べた。
敗れた猿田氏は、公明党や立憲民主党など与野党各党から広く支持を得て組織戦を展開。街頭演説では「人口減少対策を私は、覚悟を決めてやり抜く。継続すべきところはさらに拡大、進化させ、あらためることがあれば躊躇なく改善し、やめることはやめる。私は皆さんと、秋田の発展のために全身全霊を捧げ、覚悟をもってとことんやり抜く」と訴え、「人口対策、真っ向勝負」をスローガンに掲げ〇最低賃金目標を1.5倍に〇物価対策費を2倍に〇給食費・医療費・保育料を無料などの公約を有権者にアピールしたが、勝利につなげることができなかった。佐竹県政に閉塞感を感じていた有権者が、鈴木氏支持に回ったのも敗因とみられる。
支持者らの前に姿を見せた猿田氏は「私の力不足だった。今後はさまざまな大きな課題に直面している秋田県政を力強く前に進めていくためにも、選挙戦を戦ったそれぞれの立場を尊重しながら一つになって秋田県政を進めていっていただければ」と敗戦の弁とともに期待をにじませた。
「違法強制入院ゼロの水害のない暮らしやすい秋田を目指す」を公約の柱に掲げた大久保氏は、自転車をこいで秋田市内の掲示場にポスターを貼り付けながら、拡声器で有権者に支持を訴えるなど孤軍奮闘。しかし、わずか一人での選挙運動にはあまりにも限界があり、自身が予想したとおりの結果に終わった。
初陣を飾った鈴木氏は昭和50年(1975年)8月24日、神戸市生まれ。京大法学部卒。平成27年(2015年)に県議選に初当選して以来3選し、県議会副議長などを歴任。昨年11月に県議を辞職し、知事選への準備を進めた。秋田市手形山北町。 (速報:午後9時半)
続報:3氏の得票数は鈴木氏が27万3,270票、猿田氏が18万9,382票、大久保氏が5,345票で、事実上の一騎打ちの中、鈴木氏が猿田氏に8万3,888票の大差で快勝した。県内25市町村のうち五城目、井川の両町を除く23市町村で鈴木氏が勝利。当日有権者数は78万9,908人(男37万378人、女41万9,530人)で、投票者数は47万690人。有効46万7,997、無効2,689、持ち帰り4、不受理0。投票率は59.59%(男59.53%、女59.64%)で、過去最低にとどまった4年前の前回を3.03ポイント上回った。
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