6月定例県議会は12日開会し、佐竹敬久知事が知事説明に臨んだ。この中で任期残り1年に触れ、人口減少問題への対応を最優先にヒトへの投資や防災力の強化に重点的に取り組む、とあらためて強調。また、クマ被害への防止対策については「クマ類が(国の)指定管理鳥獣に指定されたことに伴って国の支援が拡充され、人とクマ類との軋轢(あつれき)の低減が一層強化できるものと考えている」とした上で、引き続き市町村などと十分連携しながら適正頭数の管理をはじめとする被害防止対策を重視し、強化を図るとした。
開会に先立ち、川口一氏(鹿角市郡選挙区・当選7回)の在職25年表彰を行った。北林丈正議長、佐竹知事らから表彰状や記念品を手渡されたのち、川口氏は謝意とともに「今後はいつまで議員を務められるかわからないが、県民福祉向上のため、微力ながら力を尽くしたい」と決意を新たにした。
知事説明の前に佐竹知事は、今月5日に90歳で死去した血液中のコレステロールを下げる物質「スタチン」を発見した名誉県民の遠藤章さん(東京農工大特別栄誉教授・由利本荘市東由利出身)の訃報に触れ、「これまでの功績に対して敬意を表するとともに、心からご冥福をお祈り申し上げる」と述べた。知事説明のうち残り任期とクマ対策については下段のとおり。
<残り1年を残し>
これまで県職員として25年、秋田市長として8年弱、県知事として15年、あわせてほぼ半世紀にわたり、地方自治の最前線に身を置き、力の限りを尽くし故郷秋田の発展に向けて取り組んできた。私にとっては最後の1年となるが、多くの課題を抱える本県においては一時(いっとき)の停滞も許さず先送りのできない状況にあることから、人口減少問題への対応を最優先にヒトへの投資や防災力の強化に重点的に取り組むことにより、県政の諸課題に道筋をつけて未来へ向け変わりゆく秋田のため、次の代にしっかりと引き継いでいきたい。
<クマ被害への防止対策>
1月以降のクマの目撃件数が例年を大幅に上回り、県内全域にツキノワグマ出没警報を発令するなど注意喚起を行っている最中、先月4日に鹿角市で渓流釣りの男性が襲われ、今年最初の人身事故が発生した。その後、県内各地で被害が相次ぐ事態となっている。県はツキノワグマ緊急対策会議を開催し、人身被害の発生状況を確認するとともに、救助活動での安全確保や県民などへの一層の注意喚起、入山禁止エリアに立ち入らないことを徹底することにしたほか、近隣の県に対しても入山禁止の呼びかけについて協力を依頼した。
また、人の生活圏への出没が多数発生していることから、今月上旬、県立学校や公の施設などにクマ除けスプレーを配置したところだが、県民も家屋や農地周辺のヤブの刈払いによる見通しの確保に加え、エサとなる物を屋外に置かないこと、柵や物置の扉をふだんから施錠しておくこと、山菜取り等に出かける際には鈴やラジオで音を出すなど人の存在を強くアピールし、可能な限り複数での行動を心がけるなど十分注意するようお願いする。
さらに、来月からクマの出没情報などを市町村や関係機関と共有し、県民に迅速に伝達するツキノワグマ等情報マップシステムの運用を開始するほか、クマ類が(国の)指定管理鳥獣に指定されたことに伴って国の支援が拡充され、人とクマ類との軋轢の低減が一層強化できるものと考えており、引き続き市町村等と十分連携しながら適正頭数の管理をはじめとする被害防止対策を重視し、強化を図る。 (午後3時半)
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