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令和6年(2024年)5月27日付
「8月末までに辞す」

大館市の福原市長

6月定例会で表明

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福原市長

 

 大館市の6月定例議会は27日開会し、福原淳嗣市長が行政報告に臨んだ。この中で市長は、5年度のふるさと納税寄付額が11億円に迫る過去最高額を記録したことなどを報告。 また、行政報告に先立って発言を求めた市長は、8月末までに市長職を辞すとの考えを明らかにした。

 市長辞職は、次期衆院選秋田2区から自民党公認で立候補を予定していることに基づくもの。後任をめぐって3新人が出馬を表明しており、9月上旬の市長選が有望視される。

 今定例会への上程案件は、6年度一般会計補正予算案を含む42件。うち6年度一般会計補正予算案は16億3,374万円を追加し、歳入、歳出の累計を379億3,945万円とする。会期は6月13日まで。主な行政報告内容は次のとおり。

令和5年度のふるさと納税の状況

 昨年末に年間目標としていた10億円に到達し、寄付件数は5万6,699件、寄付額は10億9,582万円で過去最高。
 寄付拡大に向けた取り組みでは、新たなふるさと納税サイトの追加や、新しいふるさと納税の形である「旅先納税」の導入など、受付方法の拡大により寄付者の利便性向上を図った。このほか、釈迦内小敷地内の桜の保全事業に活用するため、ガバメントクラウドファンディングを実施したところ、市内外の多くの方の賛同を得て目標の100万円を大きく上回る175万5,000円の寄付を得た。
 企業版ふるさと納税では、ハチ公生誕100年プロジェクトに対し、賛同企業から多くの寄付を得て事業に活用した。
 また、1月1日に発生した令和6年能登半島地震により甚大な被害を受けた自治体への災害支援として、一般社団法人北前船交流拡大機構を通じてつながりのある石川県輪島市と志賀町の業務負担軽減のため、ふるさと納税の代理受付業務をいち早く実施しており、その迅速な対応は国からも評価された。輪島市へ186件341万円、志賀町へ45件122万6,000円の寄付を預り、先般、両自治体に届けたところ、輪島市の坂口市長からは直接感謝の言葉を得た。
 今年度は、ふるさと納税の寄付拡大に向けた取り組みとして、新たな納税サイトの追加の検討や、寄付を活用した返礼品の確保や磨き上げ、新商品の開発等への支援などを実施し、地域の活性化につなげていく。

令和5年度の決算見込み

 一般会計の決算状況は、歳入総額433億6,800万円、歳出総額415億700万円で、歳入歳出差引額は18億6,100万円と見込み、翌年度への繰越財源を差し引いた実質収支額は16億900万円となる見込み。
 主な事業成果は、保育所などの福祉施設や学校給食の食材費高騰分の負担軽減を図ったほか、「大館駅周辺整備事業」や「ハチ公生誕100年プロジェクト」「道路・橋梁の補修及び改良事業」「歴史まちづくり事業」などを計画的に実施した。
 各企業会計の収益的収支の決算状況は、水道事業会計は1億6,300万円、工業用水道事業会計では500万円の単年度純利益を、下水道事業会計は1億9,700万円の単年度純損失を見込んでいる。また、病院事業会計は総合病院で7億1,700万円、扇田病院で1億1,900万円の単年度純損失を見込んでいる。

新斎場整備事業の進捗状況

 4月9日に敷地整備、建築、電気設備、機械設備工事4件を発注し、電気設備工事を除く3件の工事は落札者が決定し、5月21日に仮契約を締結した。今定例会に契約締結に係る関係議案を提出している。
 建設地は現斎場の300メートル西側で、敷地面積は現在の約2.5倍。周辺環境への配慮から敷地境界沿いに築山と植栽帯を設け、景観と調和を図るとともに、施設全体に県産材を活用し、利用者の気持ちを和らげる温もりのある空間する。
 また、4つの火葬炉に対してそれぞれに告別収骨室と待合室を設ける「会葬単位の専用ユニット型」とすることで、他の会葬者と顔を合わせる機会を減らし、落ち着いた環境で故人を送ってもらえる考えている。令和8年4月の供用開始を目指しており、工事期間中は騒音や交通規制などで迷惑をかけるが、理解と協力をお願いする。

低所得者支援給付金

 物価高騰の影響を特に大きく受ける低所得世帯に対し、3月27日から給付金の支給を開始している。1世帯当たり10万円を支給する「住民税均等割のみ課税世帯給付事業」は1,683世帯に支給し、給付率は96.6%。
 低所得世帯の児童1人当たり5万円を支給する「こども加算給付事業」は702人分3,510万円を支給し、給付率は96.2%。また、納税義務者とその扶養親族を対象とした定額減税に伴う調整給付について、今定例会に関連予算案を提出している。

農作物の生育状況

 主要園芸作物である枝豆は例年並みの4月下旬に播種が始まり、好天が続いていることから順調に生育。昨年は降霜被害を受けたアスパラガスやナシ、リンゴも今年は順調に生育している。
 基幹作物の水稲は、播種後の育苗期間中に一部で高温障害が見られたものの、田植えは例年どおり5月上旬から始まり、5月下旬には終期を迎えている。
 昨年は猛暑で多くの農作物に被害があったことから、気象状況を注視しながら、JA等の関係機関と連携し、農作物の管理を徹底するよう促していく。
 大館市農業再生協議会を通じた経営所得安定対策は昨年度、379人の農業者に対し、水田活用の直接支払交付金や畑作物の直接支払交付金約10億8,000万円を交付した。本年度の申請期限は6月14日となっているので、期限までの申請を呼びかける。
 また、食料の安定供給の確保を柱に「食料・農業・農村基本法」が25年ぶりに改正される見込みで、世界の食料安全保障や市場拡大の観点から、国は食の輸出強化を目指すとしている。大館市も経営所得安定対策などを活用しながら、米の輸出拡大に向けた取り組みを強化するなど、農業所得の向上に努める。

森林資源を活用した研究開発事業の採択

 市は脱炭素社会の実現と森林の価値向上を目指し、森林資源循環の確立による林業の成長産業化を推進しており、その取り組みの一つとして産学官連携プロジェクト「森の価値変換を通じた、自律した豊かさの実現拠点」に参画している。
 このプロジェクトは、県立大学木材高度加工研究所の高田所長がリーダーを務め、県や能代市、県内の公立大学3校、京都大学、静岡大学などの学術機関、トヨタ車体、竹中工務店などの民間企業が参画。
 これまで、科学技術振興機構の「共創の場形成支援プログラム」における「育成型」として実施していたプロジェクトの先進的な取り組みが認められ、このたび「本格型」への採択があった。
 今後、同機構から年間最大2億円、最長10年間にわたって支援を受けながら21の参画機関が連携し、秋田の豊かな森林資源に新たな価値を生み出すさまざまな研究開発に取り組んでいく。
 4月1日には県立大学と共同研究契約を締結し、市内の森林を研究のフィールドとして提供しながら森林資源の多角的活用による人材と文化の交流を促すとともに、経済・産業の活性化を図っていく。

雇用対策の状況

 今春卒業した市内高校生の県内就職率は77.8%と統計開始以降最も高い値を記録したほか、4年連続で7割超えを達成。
 パンデミック後、高校生の県内就職率は高い水準となっているが、依然として生産年齢人口の減少や若者の転出超過が続いていることから、5月23日に地元商工団体に対し、未来を担う人材の確保・定着に向けた求人の早期提出と働きやすい職場環境の整備、積極的・効果的な企業情報の発信を要請した。
 また、就労支援や職場定着に向けた取り組みとして、秋田労働局との連携による「職の窓口 活JOBおおだて」を市役所内に開設しており、昨年度、1,130件の相談を受け、156人の就職に結びついた。
 就労者の所得向上を目的とする資格取得支援事業は求職者27人、高校生30人、在職者179人、計236人のスキルアップを支援した。
 若者の市内定着を図る奨学金返還助成事業は新たに17人を認定し、制度創設からの累計で137人の地元就職につなげたほか、インターンシップ支援事業は高校生や大学生など16人と市内企業7社とのマッチングを図った。
 引き続き関係機関と連携を図りながら、若者の地元定着と地元企業の求人充足に努めるとともに、求職者のみならず在職者のスキルアップを推し進め、企業の生産性向上と就労者の所得向上につなげていく。

大館能代空港の利用状況等

 令和5年度の乗降客数は17万3,057人で、昨年度と比べ2万7,440人増加し、開港以来最多となった。国内観光需要やインバウンドの拡大、加えて運賃助成事業の効果と捉えており、人の流れが急速に活発になっていることが数字として表れている。
 市はこの流れをさらに拡大すべく、運賃助成事業を継続するとともに、大館能代空港を利用した市内中学校の修学旅行への支援を新たに開始した。
 大館能代空港ターミナルビルやANAなどとの連携により、春の行楽シーズンに合わせ、4月5日から5月5日までの間、空港と弘前市をジャンボタクシーで結ぶシャトル便を運行したところ、延べ179人の利用があった。利用者からのアンケートを踏まえ、今後のさらなる利用促進策に生かしていきたいと考えている。
 5月21日に開催した大館能代空港利用促進協議会の総会では、令和7年3月29日までとなっている3往復運航の定着と継続に向けた利用促進に取り組んでいくことを決定した。
 また、ハチ公の歴史を学ぶ市民の翼ツアーが3月26日から2日間の日程で開催され、市内の小学5、6年生の児童19人を含む25人が参加。東急グループや渋谷区などの協力で特別な学びと体験を提供することができたととらえている。

第149回秋田犬保存会本部展

 5月3日、桂城公園を会場に第149回秋田犬保存会本部展が行われた。2年ぶりの大館市での開催となり、国内外から多くの来場を得たほか、これに合わせて市役所本庁舎で実施した「黄金の秋田犬像」の特別展示には約1,600人が訪れ、ハチ公生誕100年プロジェクトによって秋田犬への関心がより一層高まったことを実感した。
 また、今回の本部展は県をはじめ市議会、秋田犬保存会、大館商工会議所、大館北秋商工会、あきた北農業協同組合、秋田犬ツーリズム、大館市観光協会が参画する実行委員会形式の第1回展覧会となった。特別顧問の佐竹知事からは「秋田犬は単なる犬ではなく、世界で一番有名で、優秀、平和な犬である。秋田犬を飼育していることに誇りを持って展覧会に臨んでほしい」との力強いエールが送られたほか、秋田犬保存会の遠藤会長からは「保存会だけではなく行政や各種団体とともに展覧会を作り上げ、交流していくことが、より秋田犬を世界に発信する大きなポイントになる」との言葉を得た。今後も関係団体との連携を深めながら、秋田犬と大館の魅力を国内外に広く発信していく。

地域インフラ群再生戦略マネジメントの取組状況

 かねてより他自治体に先駆けて包括的民間委託を実施している大館市は、昨年12月に国土交通省の「地域インフラ群再生戦略マネジメント」モデル地域に選定され、さる5月8日、9日の2日間、同省総合政策局の実施手法検討会の関係者による現地視察が行われた。
 当日は、道路や橋梁、河川、公園などの現状を確認したほか、建設業協会、包括的民間委託業務受託者と同事業を進めていく上での課題や展望について意見交換を行った。
 検討会の座長である政策研究大学院大学の小澤教授は「市や民間事業者が抱くインフラの将来に対する問題意識の高さや地域貢献への熱意を感じた」と、大館市の取り組みを高く評価。私は「暮らしをつなぐ地域公共交通としてのmobi事業のほか、地方交通のマネジメントについてもブラッシュアップしていくこと、さらに、同事業をはじめとしたインフラメンテナンスも今後一層、国と連携して進めていきたい」と述べた。
 なお、mobiは5月9日付で国の「共創モデル実証運行事業」の採択を受け、引き続き地域交通の維持・活性化に向けて官民を挙げて取り組んでいく。
 今後も関係機関から助言を得ながら、コンストラクションに加え、アセットマネジメントの意識を関係者と共有し、引き続き官民連携による質の高いサービスの提供へ注力する。

地域救命救急センター及び訪問看護ステーションの開設

 総合病院では救急室棟の増改築工事が完了し、医療機器などが整備され、4月1日から地域救命救急センターとして救急患者の受け入れを開始した。新たな施設には、救急処置室のほか感染症に対応した診察室を設置しており、重篤な救急患者の受け入れや新興感染症の感染拡大に備える体制を整えている。
 今後も二次医療圏の再編に対応し、緊急性の高い疾患や高度な医療が必要な入院患者に対応するための高度治療室の整備など、医療機能の強化に取り組む。
 また、同日、地域に不足している在宅医療の一端を担うことを目的に、総合病院内に訪問看護ステーションを開設した。在宅での療養を希望する患者が必要な医療を受けられるよう、訪問看護師が医療、介護、福祉などの多職種と緊密に連携し、在宅医療を支えていく。

令和6年度の診療体制

 総合病院は25診療科で、4月現在の常勤医師は前年度から3人増の54人、研修医は18人。扇田病院は3診療科で、常勤医師数は前年度と同じく6人で令和6年度の診療を開始した。
 また、感染症法の改正により、公的医療機関等には感染症の発生、まん延時における医療の提供が義務づけられた。県と医療機関が医療措置協定を締結して対応することとなっていることから、総合病院と扇田病院での病床確保などについて検討し、受入れ体制の強化を図るとともに引き続き質の高い医療を提供していく。   (午後4時半)

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