第26回参院選の本県選挙区(改選数1)は10日、投票が行われ、即日開票の結果、自民党現職の石井浩郎氏(58)が無所属新人の村岡敏英氏(61)との事実上の一騎打ちを制し、堂々3選を果たした。ほかの4新人も独自の政策を掲げて懸命に支持を求めたものの、上位2人の争いに絡むことができなかった。
先月22日に公示した今参院選の本県選挙区は、平成10年(1998年)以来24年ぶりに6人が立候補し、うち女性立候補者が複数だったのは今回が初めて。
ロシアのウクライナ侵攻を受けた物価高騰対策や憲法改正、外交・安全保障政策、岸田文雄首相の政権運営など、また、県内では再生可能エネルギーを軸とする産業振興や農業政策などを焦点に18日間にわたって激戦が繰り広げられた。8日には安倍晋三元首相が奈良市で演説をしていた際に男に銃で撃たれて死亡する事件が発生し、政界はもとより国内外に大きな衝撃を与えた。
3度目の当選を果たした石井氏は「豊かな日本をつくるには、地方から」を選挙スローガンに掲げ○農林産業を成長産業に○地方経済の元気を取り戻す○命と健康を守る○未来の投資「教育」の充実・スポーツを通じた健康で豊かな地域社会、の4点を柱とする公約を今選挙で掲げた。
石井氏は自民党の組織力をフルに活用し、県議や本県出身の国会議員などの支援を得たのに加え、選挙運動中は岸田首相や菅前首相なども応援演説に駆けつけたほか、県内400以上の団体の推薦を受けたのが追い風となった。さらに、事実上与野党の一騎打ちとなった令和元年の前回選挙から一転、野党が一本にまとまらなかったことも後押ししたとみられる。
早々と当確を決めた石井氏は午後8時10分ごろ、佐竹敬久知事や穂積志秋田市長、自民党県連会長の御法川信英衆院議員、金田勝年同、富樫博之同をはじめとする支援者ら約100人が集まる秋田市内の選挙事務所に姿を見せた。
あいさつに立った石井氏は「選挙戦後半、本当に悲しい出来事が起きた。安倍晋三元総理が凶弾に倒れ、亡くなった。心からご冥福を祈る。本当に無念でならない。安倍元総理のご遺志は個人が継ぐというより自民党として継いでいくべきだと思っている。自民党の議員の一人として私も安倍先生のご遺志を継いで、これからがんばっていきたい」と故人に思いを馳せた。
その上で「秋田県、そして市町村の皆さんと選挙戦中ずっと訴えさせてもらった。我々は連携できているんだと。国と県と市町村、これがしっかり連携できている数少ない都道府県だということを訴えさせてもらった。秋田県の諸課題はたくさんある。一人ではできない、と私も何度も何度も申し上げてきた。みんなで諸課題に挑戦していきたいと思う。県民の皆さんの負託にしっかり応えられるように精進していくので、引き続き支援を」と述べ、3期目当選に新たな決意を示した。
今参院選は元衆議院議員の村岡氏と事実上の一騎打ちとなり、同氏は国民民主党から推薦を得たものの、石井氏に及ばなかった。支援者らが待つ秋田市内の選挙事務所に姿を見せた村岡氏は「私の力不足だった」などと敗戦の弁を述べた。
立憲民主党の推薦を受けた無所属新人の佐々百合子氏(46)、共産党新人の藤本友里氏(43)、政治団体「参政党」新人の伊東万美子氏(51)、NHK党新人の本田幸久氏(40)らも及ばなかった。
本県選挙区の投票率は男性56.73%、女性54.54%、男女平均で55.56%。令和元年(2019年)の前回を0.73ポイント下回り、通常選挙による参院選でこれまでの過去最低だった平成25年(2013年)を0.63ポイント下回った。 (午前零時)
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