10月に中田吉穂村長が病気で死去したのに伴う上小阿仁村長選挙は29日投票が行われ、元職の小林悦次氏(66)=五反沢、無所属、農業=が、前村議会議長で新人の小林信氏(59)=小沢田、同、会社員=を破り、初当選した平成27年(2015年)以来2回目の当選を果たした。
今選挙は、10月13日に中田村長ががんで亡くなったのを受けて昨年4月以来1年7月ぶりに行ったもの。同23日に小林信氏、同27日に小林悦次氏がそれぞれ出馬表明し、24日の告示以降5日間にわたって激しい選挙戦を繰り広げた。
介護保険料、健康保険料の軽減を軸とする介護保険計画の見直しや、インフルエンザ予防接種の無料化、少子高齢化対策としての雇用拡大などを公約に掲げた小林悦次氏は、大票田の沖田面を含めて幅広く集票。昨年の前回選挙では中田氏にわずか4票差で敗北したとはいえ、ほぼ互角に戦ったことで支持者が多いほか、村長経験者であることも追い風となった。
一方、移住・定住・関係人口に特化したサポーターチーム制度の創設や高齢者の生活支援の充実、幼児教育と保育環境の充実などの公約を掲げた小林信氏は、村議を連続5期を務めたほか、最後の1期は議長の重責を担ったことなども訴えながら集票に奔走。
しかし、昨年4月の村議選で小林信氏は126票と伸び悩んで次点に甘んじており、前回村長選で中田氏と激戦を繰り広げた小林悦次氏との支持層の厚さの違いが今選挙に表れた。とはいえ、小林悦次氏は前回選挙から54票上積みしながらも1期目の"小林村政"ではさしたる改革を実現できなかったことに対する批判が、大差に至らなかったとみられる。
上小阿仁村は現在、副村長も不在な中、村政停滞からの早期脱却が急務となっており、返り咲きを果たした小林悦次氏がどこまで改革できるかが、県内で最も高齢化が進む同村の"浮沈"を左右するといえそう。
当日有権者数は男967人、女1,053人の計2,020人で、前回選挙の投票日に比べて84人減少した。また、投票率は男88.42%、女81.96%、平均85.05%。かろうじて85%割れを回避したものの、前回選挙に比べて1.31ポイント低下し、初めて90%を割り込んだ平成27年以降も下がり続けている。当日投票者数は1,718人、うち有効は1,638、無効は80、持ち帰り、不受理はともに皆無。 (午前零時)