第25回参院選の本県選挙区(改選数1)は21日、県内807カ所で投票が行われ、即日開票の結果、野党統一候補で無所属新人の寺田静氏(44)が、自民党現職の中泉松司氏(40)=公明党推薦に2万1,067票差で事実上の一騎打ちを制し、初当選を果たした。参議院議員としては、本県初の女性議員誕生。
本県選挙区には政治団体「NHKから国民を守る党」新人の石岡隆治氏(45)を含む3人が立候補したが、このうち石岡氏は契約者だけがNHKを視聴できるスクランブル化の実現に論点を絞り、最終日の20日のみNHK秋田放送局前やJR秋田駅西口付近で演説を行った。
このため、本県選挙区は寺田、中泉両氏による事実上の一騎打ちとなり、両氏は年金や憲法改正、消費増税など国民生活にかかわる問題に加え、県内特有の問題として地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備計画や人口減少対策などを争点に、熾烈な争いを繰り広げた。
衆議院議員秘書などを経て野党統一候補として初出馬した寺田氏は「さまざまな困難を自己責任だといって切り捨てるのではなく、そのひとつひとつにしっかりと手を差し伸べていけるやさしい社会を作りたい」と訴えたほか、イージス・アショアについては「地域の皆さんに寄り添って反対の声をあげていきたい」と強調。
不登校や高校中退、祖父の会社の倒産による経済的な苦労、弟の死など自身の生い立ちや境遇などを明らかにしながら、「政治は誰のためにあるのか」「すべては秋田県民の目線に立って」と訴え、政党幹部からの応援は受けず政党色を抑えて草の根選挙戦に徹した結果、無党派層から幅広く支持を得たのが勝因につながった。
当確の朗報を得て午後9時半前に支持者らが集う事務所に姿を現した寺田氏は、勝因について「今の政治のあり方はおかしいという私の訴えが、苦しい生活、不安な生活を送られている皆さんに受け入れられたのかなと思っている」と語った。
その上で、「今現在苦しい状態に置かれている皆さん、不安の中で暮らしている皆さんの思いをこの選挙戦の中で受けとめたので、そうした皆さんの声に応えられるような活動をしていきたい」と抱負を述べた。
さらに、「無所属では希望の委員会が選べず、質問の時間もほとんど与えられないとうかがっている。恐らくは、満足な活動ができないのではないかと思っている。私の思うことを実現に近づけるために、いずれ会派か党なのか、速やかに所属して満足な活動ができる状態にしていきたい」との考えを示した。
一方、再選を果たすことができなかった中泉氏は、選挙戦で現職としての実績を強調するとともに、@経済「実感の持てる経済再生」を地方から」A社会保障「人生100年時代」と「一億総活躍社会」に向けてB農林水産業「攻める農業」と「守る国益」による農政推進C社会資本「災害に強い国づくりと地方を支えるインフラ整備」の、4つの重点施策を有権者にアピール。
また、イージス・アショアについては「防衛省による不正確な調査と不誠実な対応。これはまさに言語道断。どれだけ正確な調査をし、どれだけ誠実な対応をするか、しっかりと厳しい眼で見ていかなければいけない」と訴えた。
地元選出の国会議員や県議などの応援を含め組織力を駆使して総力戦を展開したほか、安倍晋三首相や菅義偉官房長官らがそろって応援に駆けつけ、応援演説で首相は「地域にとっても私にとっても日本にとっても必要な人材」と強調。しかし、保守層を固めることはできたものの、無党派層の支持が伸びなかったのが敗因となった。
県選管が作成した市町村別の開票結果のうち秋田北地方関係は下段のとおりだが、同地方の総得票数は寺田氏が3万5,355票、中泉氏が3万803票、石岡氏が2,389票で、全5市町村で寺田氏が中泉氏を上回った。
本県選挙区の投票率は56.29%で、参院選としては2選挙ぶりに60%を超えた前回(平成28年)を4.58ポイント下回った。平成25年(2013年)の56.19%に次いで、過去2番目に低い。
(午後11時25分)
続報:参院選比例代表に立候補した共産党新人の藤本友里氏(40)=北秋田市=は落選した。
|
|
|
|
得票数計 |
党派の名称 |
自由民主党 |
無所属 |
NHKから国民を守る党 |
|
|
|
|
開票区名\候補者名 |
中 泉 松 司 |
寺 田 静 |
石 岡 隆 治 |
大館市 |
14,809 |
17,597 |
1,184 |
33,590 |
鹿角市 |
6,597 |
7,454 |
537 |
14,588 |
北秋田市 |
7,549 |
8,142 |
533 |
16,224 |
小坂町 |
1,153 |
1,465 |
99 |
2,717 |
上小阿仁村 |
695 |
697 |
36 |
1,428
| |