第21回参院選、秋田選挙区 現職金田氏の3選を阻む
第21回参院選は29日、県内1,099カ所で投票が行われ、即日開票の結果、秋田選挙区(改選数1)は無所属新人の松浦大悟氏(37)=民主、社民推薦=が、自民党現職の金田勝年氏(57)=公明推薦=、共産党新人の鈴木知氏(30)を下し、堂々初当選を果たした。 安倍内閣発足後初の国政選挙となった今選挙は、年金記録不備問題や政治とカネ、地域間格差などが争点に。県内民放テレビ局の元アナウンサーとしても知名度が高い松浦氏は、自民党の長期政権が県民の暮らしや地方を切り捨ててきたと痛切に批判しながら、政治の流れを変えようと訴えた。 従来、自民党の地盤としてきた地域でも金田氏と互角か、上回る善戦ぶりだった松浦氏は、金田氏をリードしていると報じられた後も上滑りを警戒しながら陣営をあげて引き締めをはかり、農村地域や若い層、無党派層の取り込みにも成功し、初当選を果たした。 農村地域を回った感触について松浦氏は「農村部は自民党の支持基盤といわれてきたが、猫の目のように変わる自民党の農業政策に対し、ものすごく不満の声が多かった。小規模農家も安心して農業に取り組めるような農業政策にしていきたい」と、当確後に語った。 また、「今の政治に対する不満の声、不信感をたくさん感じた。今のままではだめだ、変えていかなくてはならないという判断が県民を動かした」と当選の便。さらに、今後の所属については、民主、社民両党、連合秋田、鈴木陽悦参院議員との4者協議を経て最終的には自分が決めたい、とした。 年金記録不備や閣僚の不適切発言などを背景に自民党が逆風にさらされた中、金田氏は2期12年の実績をアピールしながら、「強い秋田、優しい秋田を」と訴えた。苦戦が伝えられ、安倍首相や小泉前首相、石原都知事などの来県、さらには自民党県議、市議ら一丸となって企業、団体などへの働きかけでてこ入れをはかったものの、従来の自民票も松浦氏に奪われるなど後半は一層苦戦色が増した。金田氏は「ふるさと秋田のために今の課題など申し上げるべきことを申し上げてきたが、結果は結果として厳粛に受けとめなくてはならない」と敗戦の便。 鈴木氏は、働いても生活が苦しい「ワーキングプア」や年金記録不備、消費税増税などの問題を打破しようと訴え、「確かな野党」を強調。若さも前面に押し出しながら精力的に県内を巡ったものの、票を伸ばすことができなかった。「今の政治を変えてほしいとの声を多く聞き、一生懸命がんばったが、残念な結果となった。この思いは引き続き、人生をかけて全力でがんばりたい」と敗戦の便。 全国的には民主が圧勝し、自民は30議席台にとどまる大敗。本県でも自民党は、参議院の議席を失った。「参院選に勝てる顔」として選ばれた安倍首相の吸引力の低下が否めない中、改革を着実に前進させたいとして引き続き政権を担う意向を同首相は示した。自民党内では、同首相の続投を容認する声が相次いでいる。なお、秋田選挙区の投票率は67.7%で、前回を2.38ポイント上回った。 (午後11時半) |