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デスクの独り言

第124回・令和元年6月17日
 
既得権益(2)
 
 
これは今月13日に公開したコラム、既得権益の続編である。前編をご覧いただいた上でお読みになることをお奨めしたい。そうしないと、論点を把握するのはむずかしい。

 大館市民文化会館の館長から回答がメールで寄せられたのは、当新聞社が問題を指摘してから5日後の今月15日夕方近くのことだった。件名は「文化会館職員の非礼のお詫びと今後の改善取り組みについて」。

 前編のみ掲載し、館長の弁明を公開しないと報道の立場としては片手落ちになり、文化会館の悪いイメージのみが残ってしまう。従って、一定の「完結」をみる上で、続編を掲載することにした。

 館長は「この度は、6月9日、10日の当館での落語親子会の入場券購入における職員の窓口対応並びに接遇の非礼についてご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。御社からのメールを受け、職員、臨時職員全員を集めて、事案の状況や要因についてヒアリングを行い、また窓口対応した女性職員からも事情聴取いたしました」と述べている。

 その上で、入場券購入のために会館窓口に足を運んだ市民について、
 
@入場券が印刷の都合で予定の6月9日に間に合わず、購入希望者には事情を説明した上で予約を受け、改めて届けるなどの対応を指示していたが、職員間の情報共有が徹底されておらず、結果として客を待たせることになった。
 
A予約の際、乱暴で非礼と受け取られる対応で不快な思いをさせてしまった。
 
 の2点をを挙げた。
 
 さらに、館長は「当館では日曜や祝日も責任ある対応をするため職員を常駐させ、また職員間の事務連絡体制の強化や、お客様との窓口対応、接遇についても非礼の無いよう何度も繰り返し指導してまいりましたが、このような事案が発生したことは残念でなりません」と、記している。
 
 これまでの職員教育のあり方を抜本的に見直し、全職員のミーティングやヒアリングを定期的に実施し、今後このような事案を発生させないための職員教育を徹底していくことを約束し、「市民の皆様に気持ち良く当館を利用していただき、市民の皆様に喜んでもらえる事業を開催し、より良い市民サービスの提供に努めてまいりますので、今後ともご指導方をよろしくお願い申し上げます」と結んだ。
 
 ここで読者の皆さんに誤解していただきたくないのは、当新聞社は「上から目線」で文化会館に問題点を指摘したつもりは毛頭なく、「このままでは文化会館に対する市民のイメージが悪くなりませんか。是正すべき点は是正すべきではないですか」という、"市民目線"で問題提起したに過ぎない。
 
 館長もそう理解したからこそ、当新聞社にではなく広く市民や文化会館利用者、愛好者に詫びたものと解釈している。つまり、当新聞社が「陳謝させた」のではなく、館長が事の重大性を指摘によって認識し、最初にまず問題提起をした当新聞社に回答したもの、と結論づけている。
 
 館長が約束したとおり、職員一丸となって改善に向けて取り組むことを切に願うが、ここでもう一つだけ問題提起しなければならない。それは、前編で論じた「大館人」の意識構造である。先のコラムでは「指摘や注意を受けた者の少なからずは、反省するどころか相手を恨む。それも、報道現場に長く身を置いた筆者が多くの経験から確信している『大館人』の気質の一つといえる」と指摘した。
 
 つまり、ここで申し上げたいのは当の女子職員は真に反省しているのか、という点。形だけは反省しているふうを装うが、本心はそうではなく、腹の中に重い反発心を残したまま職場にい続ける例が大館では少なくない。
 
 それもまた連綿と続く「大館人」の気質だ、と筆者は確信している。漠然とそう思うのではなく、大館市内の大型小売店、生命保険会社の大館営業所、大手運輸会社の大館営業所、同市内の新聞販売店など、多くの人たちから寄せられた意見や筆者の実体験をもとにいくつもの具体例を挙げることができるが、切りがないためここでは割愛する。

 上司や現地のトップが部下、従業員の"尻ぬぐい"として代わりに陳謝するが、当の部下、従業員はまったく反省せず、あっけらかんとしている例が大館ではすこぶる多いことだけは付け足しておきたい。また、社長を含むトップそのものが部下、従業員の客に対する非礼、無礼を屁とも思わぬ、「殿様商売」気質も嫌というほど見てきた。その一端は、2015年11月9日付のコラム殿様商売でも論じている。

 市民はもとより、館長を含む全職員にも多大な迷惑をかけた当の女子職員が、市民に対してこれから先どのような接し方をしていくのか、継続的に観察していく義務が会館にはある。市民の「文化の殿堂」たる大館市民文化会館が、良い手本となる方向へ変貌できるのか、注目していきたい。