2018年8月28日付
タイの事前合宿誘致へ本腰
 
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福原市長

東京五輪・パラで

福原市長が行政報告

大館市の9月定例議会開会

 大館市の9月定例議会は28日招集され、会期を10月1日までの35日間と決めた後、福原淳嗣市長が行政報告に臨んだ。この中で市長は東京五輪・パラリンピックの事前合宿誘致活動に触れ、ボッチャ競技や陸上競技などの事前合宿実施の合意に向けてタイと協議していくこことを明らかにするととともに、同合宿地決定を目指して誘致活動を積極的に展開するとの決意を示した。

 初日上程案件は30年度一般会計補正予算案や財産の取得などを含む19議案のほか、専決処分の承認、報告各1件。うち同予算案は8億2712万2000円を追加し、当初からの累計を345億7176万2000円とする。財産の取得は、国登録有形文化財「桜櫓館」の建物などを市が取得するもの。主な行政報告内容は次のとおり。(午後4時半)

<8月15日から16日にかけての大雨による被害状況等> 北日本に停滞した前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、15日昼過ぎから16日明け方にかけて市内では市中心部、雪沢地区、十二所地区、比内地域等で断続的に強い雨が降り、米代川や犀川などで水位が上昇した。

 大館市では15日午後3時30分、土砂災害警戒情報の発令と同時に災害警戒対策室を設置し、国や県からの情報をもとに職員間で情報を共有しながら警戒に当たった。能代河川国道事務所の増所長からは、16日午前1時過ぎに今後の水位上昇見込みについてホットラインをいただき、的確な判断につなげることができた。

 23日現在の被害状況は住家床下浸水が2棟、道路や河川被害が11カ所、農地や林道被害が23カ所、比内地鶏の被害が161羽などとなっている。人的被害が出なかったことが何より幸いで、今後も関係機関との連携を密にし、市民の安全・安心の確保に努める。

<公共施設におけるブロック塀等への対応> 6月18日に発生した大阪府北部の地震で女子小学生が倒壊したブロック塀の下敷きになり亡くなった事故を受け、即日、公共施設の工作物について緊急点検するよう指示した。その結果、コンクリートブロック塀や石積みの塀で建築基準法の基準を満たしていないものが、小・中学校など教育関連の11施設で11カ所、公立保育施設で1施設1カ所、その他2施設で4カ所、計16カ所が確認された。このうち緊急度が高いと判断された城南小学校、田代中学校、鳥潟会館、真中保育所プールの4カ所の塀については、撤去等の安全対策に着手した。残る不適合の塀や老朽化した塀については、今後、適切な対策を検討し、関係機関と協議しながら安全確保の措置を順次実施する。

 今定例会に関係予算案を提出している。また、大館市通学路安全推進会議の合同点検は、通学路沿いのブロック塀なども調査対象に含めるほか、危険性の高い塀の撤去に補助制度を創設し、安全促進にも努める。

<危険空家等解体撤去費補助金事業> 昨年度創設した本制度には、今年度、5月末までに13件の相談が寄せられた。これを受け、建築士の資格を持つ市職員が空き家の危険度判定調査を行い、7月9日には弁護士、建築士などの学識経験者等で組織する「空家等対策協議会」での協議を経た上で、8件の空き家について補助対象となる特定空家等に認定した。

 8月23日現在、書類審査が終了した7件について交付決定通知書を発送したところで、残る1件についても書類が整い次第、交付決定通知を行う予定。なお、協議会終了後、新たに5件の空き家について相談があったことから、これらについても順次手続きを進める。同事業により、危険な空き家の解体が進むものと考えており、今後もさらなる事業の周知に努める。

<大館市環境マネジメントシステム更新審査> 「大館市環境マネジメントシステム(EMS)」の国際規格の認証登録を維持するため、7月10日から3日間、審査登録機関による更新審査が行われた。審査員からは、この3年間多くの環境目標が達成されるとともに、必要な是正措置が執られ、改訂された規格での運用もできており、市のEMSは適切に維持されていること、また、市がEMS認証登録を継続していることに対して高い評価を得た。

 今月21日に開催された審査登録機関による判定委員会で、国際認証の登録維持が決定した。今後も、市の施策・事務事業の推進において、環境にプラスとなるシステムの構築を図りながら、PDCAサイクルを活用した継続的改善と効率化を一層進め、環境共生都市実現に向けて取り組む。

 また、EMSの仕組みは、平成29年の地方自治法改正により、市町村で努力義務化された自治体における事務執行のリスクマネジメントを目的とした内部統制制度にも相通ずるものがあるため、これまでのEMSでの取組みを推進しながら、市としての内部統制のあり方を検討していきたいと考えている。

<農作物の生育状況等> 水稲は、カメムシ類の発生がみられたことから「コメ通信」を活用し、防除の徹底を周知している。また、葉いもち病発生の情報を受け、8月1日に現地確認を実施したところ、下位葉を中心に発生を確認したことから、早期発見と防除の徹底を周知した。生育状況は、出穂盛期は8月3日と平年より2日早く、穂揃い、登熟ともにおおむね良好に推移。

 野菜は、6月の低温、日照不足により、全体的に5日から7日程度生育が遅れ、7月下旬から8月上旬にかけての高温、少雨で回復がみられたものの、一部に干ばつによる収量の減少、品質低下があった。主な品目では、枝豆は5月18日の大雨や7月下旬の乾燥等の影響から開花にバラつきがあり、収量は平年より低い。出荷は昨年と同じ7月19日から始まり、早生種の割合が昨年と比較して増加しており、価格は昨年を若干下回る。

 アスパラガスは、夏採りは例年どおり7月上旬から出荷が始まったが、同下旬からの高温、少雨で出荷量の減少と品質の低下がみられる。価格は、春先は高値で推移していたが、8月に入り平年並みに。

 果樹はリンゴ、ナシともに開花量が多く、結実率は高い。肥大は平年並みだが、6月の低温で黒星病の発生がみられたため、防除の徹底を周知している。また、リンゴ黒星病の耐性菌が市内でも確認されたことから、発病葉、発病果実については感染拡大防止のため埋設等の処理を行っている。今後も気象変動や病害虫の発生に注意し、適切な指導を行う。

<クマ対策> 今年のクマの目撃・被害状況は8月23日現在135件で、昨年に比べて72件少ないものの、市街地や学校周辺での出没が多く、7月13日には雪沢字茂内屋布地内で人身被害が発生したほか、農作物や比内地鶏、養蜂箱などの被害が35件発生。こうした状況を受け、市では今年度、クマ被害防止対策としてクマの生息域と人の生活圏を区分し、クマが出没しにくい環境を作るための「緩衝帯整備」に取り組んでいる。

 長根山から柄沢までの約1キロにわたって実施している 山側の草刈りや雑木などの下刈り、枝打ちを今月末までに終えるほか、中山地区では県の「クマ被害防止活動推進地区」の指定を受け、自治会と県、市が一体となってゾーニング管理による被害防止計画の策定を進めており、8月20日、21日には、クマ被害対策検討会を開催した。

 そのほか、クマが頻繁に出没している北陽中学校周辺では、8月26日に地元町内会と市が協力して草刈りや下刈りを行ったところで、花岡地区では地元企業のDOWAグループが6月に小学校通学路の草刈りをしてくれた。

 また、7月には同グループから「クマ捕獲用檻」5基を寄贈され、現在、市が所有する檻は20基となった。一方、今年度創設した電気柵の設置に対する補助制度は、これまで29件について交付決定し、果樹園や養鶏場の周りに設置が進められている。今後、農作物の収穫盛期を迎え、クマの活動も活発になることから、引き続き官民を挙げて被害の未然防止に努める。

<雇用対策> 来春の市内高校卒業予定者の就職動向は、6月末現在、就職希望者167人のうち114人が県内就職を希望しており、県内就職希望率は68.3%。昨年同期との比較では、就職希望者が14人減ながら、県内就職希望者は2人増に。一方、市内企業の求人数は85事業所387人で、昨年同期との比較では1事業所の増、21人減少した。

 市内企業の求人数が就職希望者数を大きく上回っているため、高校3年生を対象とした求人求職情報交換会を関係機関と一体となって7月に実施したほか、在学中の早い時期から地元企業への理解を深めるため、高校2年生を対象とした「地元企業説明会」を今年度も開催する予定。

 さらに、市内企業のPR映像をYouTube等で配信する「大館・北秋企業紹介ムービー」の追加作成や、人材確保・定住促進を目的とした「奨学金返還助成制度」、「地域産業担い手確保支援事業」などで大館の将来を担う優秀な人材の確保を支援していきたいと考えている。

<サテライトオフィスの誘致> サテライトオフィス事業による誘致第1号となる「株式会社あしたのチーム」が今月10日、大館駅前の「わっぱビルヂング」内に、サテライトオフィス「大館ランド」を開設した。

 東京都中央区に本社を置く同社は、中小企業向け人事評価制度のクラウドサービスを提供する企業で、全国47都道府県に拠点を置き、1,300社以上の顧客を有するなど、政府が推進する「働き方改革」の流れを受けて業務を拡大させている。

 システム運用サポートなどを行うための新たなサテライトオフィスの開設場所を探していた同社に対し、総務省などから大館市の推薦があり、同市進出を「即断」した。大館ランドは地元採用の社員1人で操業を開始するが、3年以内に10人の採用を予定している。また、県の誘致企業に認定されたことを受け、市は工場等設置促進条例による指定を予定しており、地元雇用や中小企業支援などの地域貢献等を期待している。

 大館ランドが入居する「わっぱビルヂング」は、有限会社柴田慶信商店の「曲げわっぱを核としたリノベーション事業」により、地域経済循環創造事業交付金を活用して整備したもので、2階を大館市サテライトオフィス事業の拠点となる「街なかオフィス」として活用する予定。同事業は、「お試し勤務」による「おおだて」の発信や「街なかオフィス」の整備を経て本格的にスタートするが、今回の誘致を呼び水とし、さらなるサテライトオフィスの誘致に結びつけたいと考えている。

<大館能代空港の利用促進に向けた要望活動等> 30年度の大館能代空港の利用客数は7月末現在4万8,625人で、前年同期に比べて2,780人、6%増加した。これは、航空運賃助成事業をはじめとするさまざまな空港利用促進事業に加え、今年3月の大館能代空港IC開通で利便性が向上したことも大きな要因と考えている。

 こうした追い風を受け、7月12日には大館能代空港利用促進協議会として全日本空輸株式会社と国土交通省航空局を訪れ、能代市、北秋田市、鹿角市、小坂町、三種町の各首長や大館商工会議所会頭のほか、5月に同協議会に加入した弘前市の副市長とともに、地方空港利用者の利便性向上策の検討などについて要望した。

 国土交通省の久保田航空ネットワーク部長からは「県を越えての連携はこれまでにない画期的なことで、できるだけ後押ししたい」との言葉を得るなど、同協議会の活動に対して高い評価を得られたことは大きな成果と受け止めている。

 7月18日には開港20周年記念式典を、同22日には同記念イベントを開催し、圏域のさらなる発展を祈念した。引き続き大館能代空港の利用客数増加に向けて関係団体との連携強化を図り、より一層の利用促進に努める。

<東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致活動> 7月11日から13日までの3日間、タイのパラリンピック委員会、脳性麻痺スポーツ協会、ボッチャ競技の関係者6人が大館市を訪れ、東京2020パラリンピック競技大会の事前合宿候補地としてタクミアリーナなどの体育施設や市内宿泊施設など7カ所を視察した。

 今回の視察は、昨年10月に高橋教育長が、その翌月に私がそれぞれタイを訪問して大館市への視察要請を行い、県など関係機関の協力を得て実現に至った。体育施設についてはいずれも高い評価を得ることができ、宿泊施設も特段支障ないとの意見を得た。視察後、あらためてタイに職員を派遣したところ、ボッチャ競技や陸上競技などの事前合宿実施の合意に向けて協議していくことになったとの報告を受けた。

 今後も県や関係団体と連携を図りながら、ホストタウン推進事業の一環としてタイと大館市との交流事業を進めるとともに、市への事前合宿地決定を目指し、誘致活動を積極的に展開する。

<二ツ山総合公園水景施設のオープン> 二ツ山総合公園幼児エリアの水遊び施設と休憩施設の整備工事が完了し、7月9日にオープニングセレモニーを行った。水遊び施設は直径11メートルの円形で、3種類の噴水装置計25本を備え、プログラム制御で変化に富んだ水の演出をしている。

 また、休憩施設は幼児用を備えたトイレや更衣室、授乳室を設け、子育て世代などが利用しやすい施設となっている。休日には、200人を超える親子連れで賑わうなど好評を得ており、今月23日までの利用者は延べ4,745人を数える。市では現在、幼児エリア内にブランコやターザンロープなどの遊具の設置も進めており、より多くの市民が子どもを連れて楽しめる場所として整備する。

<扇田病院外来診療費着服事件の進捗状況> 昨年6月に扇田病院で発覚した外来診療費着服事件は、今年5月に県警本部へ刑事事件として被害届並びに告訴状を提出し、受理された。その後の捜査により、7月9日に業務上横領の疑いで容疑者が逮捕され、7月30日付けで秋田地方検察庁に起訴された。

 一方、損害賠償請求は、株式会社ニチイ学館との間で交渉を重ねた結果、7月に損害賠償額について合意に達し、和解に向けた手続きを進めている。和解にあたり、遅延損害金の一部について権利を放棄するため、今定例会に議案を提出している。

 また、東北ビル管財株式会社に対して損害賠償を求めて提訴した民事訴訟は、1月25日の第1回口頭弁論以後、3月、5月、7月と弁論準備手続が行われ、審理が進められており、今後も市の訴えが認められるよう主張する。