秋田犬保存会(本部・大館市)の第138回本部展覧会が3日、同市の桂城公園を会場に開かれ、全国のオーナーが手塩にかけて育てた約160頭(当日棄権を除く)が出陳し、巻尾立耳など"完成度"を競った。今本部展は、外国から乗り込んできた犬が最高峰の名誉章を獲得するという同保存会の歴史始まって以来の結果となった。 同保存会の展覧会は、秋田犬の普及や保存を狙いに毎年に開かれている主要事業。中でも本部展は展覧会最高峰の位置づけにあり、春、秋2回のうち5月3日に大館市を会場とする春の本部展は、秋以上に高いレベルを誇る。 今回は本降りと霧雨を交互に繰り返す悪天候ながら、市役所をはじめ開放した会場周辺の駐車場が開会前から満杯状態になるほど、多くの見物客が詰めかけた。 この日は、平昌(ピョンチャン)冬季五輪フィギュアスケート女子の金メダリスト、アリーナ・ザギトワ選手(15)に贈呈する子犬、「マサル」(赤毛メス)=濱田正巳同保存会県南支部長作出=をお披露目。また、会場内には約70人が座れる階段状の無料観覧席も設置し、見物客らの便宜を図った。 幼犬B、同A、若犬、壮犬、成犬B、同Aの各部門、メス、オス別に約160頭が審査対象犬として出陳。このほか、過去に本部展で最高峰の名誉章などを獲得した参考招待犬や一般供覧、子犬供覧といった審査対象とならない犬(約15頭)も、例年同様披露された。 午前中に第1審査(個体審査)、続いて午後は第2審査(総合審査)。 秋田犬の正統的なスタイルである巻尾立耳や顔、構成、歯並び、毛の色、艶などを厳密に審査した。 秋田犬そのものが良い状態に仕上がっていても、それを生かすも殺すも綱さばきが勝敗を大きく左右しかねないだけに、どのハンドラーも緊張の面持ちで愛犬の持ち味をアピール。 「King of kings」の位置づけにある本部展最高の賞、秋保名誉章(成犬A組のみ審査対象)には牝部で輝虎号(大谷昌司氏所有・東京都支部所属・兼内閣総理大臣賞)、牡部で航雲丸(サポリート・アントニーノ氏所有・ヨーロッパ支部所属・兼財務大臣賞)がそれぞれ輝いた。春の本部展で名誉章が出るのは2年連続。 このうち外国支部から乗りこんで名誉章を獲得したのは、90年以上の歴史を有する同保存会で今回が初めて。アントニーノ氏は、昨春の本部展成犬B組牡部で4席に食い込んでおり、翌年には最高峰を射止めるという外国勢初の偉業を成し遂げた。また、今回はA組牝部でもMEY号が名誉章に次ぐ特優2席を獲得し、ダブル受賞。 これについて同保存会役員の1人は「大相撲と同様、本部展も国際化が進んでいく前兆なのかも知れない。上位を外国勢に総なめにされないよう、日本の参加者らは気を引き締める必要がある」と話した。今本部展壮犬の部までの各優秀1-3席と成犬の部特優(6席まで)、名誉章の受賞結果は次のとおり。(午後5時) <幼犬B組・牝部> A蘭姫(小野正規・宮城県) B忍(石田孝一・熊本県) <同・牡部> A大東(野田数基・福岡中央) B大吟上(光岡巧・岡山県西) <幼犬A組・牝部> A旭(後藤弘子・茨城第一) B琥吹雪(大石恭輔・東京中央) <同・牡部> A崇将(石田孝一・熊本県) B森伊蔵(中川雄斗・三岐) <若犬組・牝部> A紅陣桜華(坂本謙太朗・岡山県) Bb珠(原田千明・静岡県) <同・牡部> A蒼太郎(今井深士・三岐) B閃光力(林洋一・埼玉県中央) <壮犬組・牝部> A安房貴織(林洋一・埼玉県中央) B茜姫(山口修平・埼玉県) <同・牡部> A五門(仲野秀明・大阪府) B金成乃龍(渡辺克・宮城県) <成犬B組・牝部> 特優A麗(松岡清弘・埼玉県) 特優B八州玉姫(正木浩・茨城県) 特優C白玲姫(大庭直樹・島根県) <同・牡部> 特優A武龍(山本圭一・新潟県) 特優B八州大和(寺門仗・埼玉県中央) 特優C大銀河(澤田晴吉・岩手県) 特優D大将(関根宣行・福島県) 特優E佑乃介(脇屋貞和・青森県) <成犬A組・牝部> 特優AMEY(Saporito Antonino・ヨーロッパ) 特優B彩佳(西條正・埼玉県) 特優C天女(佐藤正二・新宮城県) 特優D乱空女(柴田孝一・秋田県南) <同・牡部> 特優Aガッツ(エンジェル.イタイ・秋田県北) 特優B清龍(小ア惠一郎・宮城県) 特優C喝虎(中山輝夫・北陸)
![]() ザギトワ選手への贈呈犬「マサル」も会場でお披露目 |