2017年11月28日付
きょう付で提訴
 
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福原市長

扇田病院外来診療費着服事件

福原市長が行政報告

大館市の12月定例議会開会

 大館市の12月定例議会は28日招集され、会期を来月14日までの17日間と決めた後、福原淳嗣市長が行政報告に臨んだ。この中で市長は、6月に発覚した扇田病院での外来診療費着服事件について、受託業者2社のうち損害賠償に同意していない1社をきょう付で提訴したと報告。また、収納金管理の厳正化に向けて20日に「収納POSレジシステム」を同病院に導入し、セキュリティの強化を図ったことを明らかにした。

 この事件は、窓口業務を受託していた同2社の元従業員だった40歳代の女性が同病院の窓口業務を担当していた20年3月〜今年4月の期間、病院会計に納入されるべき1億1792万円を着服したとされるもので、同元従業員は着服を認めている。

 行政報告の中で市長は「これまで被害金の全額回収を最優先に考え、受託業者2社に対し、損害賠償を求めて交渉を重ねてきた。その結果、1社(ニチイ学館)=22年6月まで業務を受託=からは全額支払いの同意が得られ、今後、利息分に係る損害金などについて交渉を進めることとしている」と説明。

 しかし、残る1社(東北ビル管財)=22年7月から業務を受託=については同意を得られなかったため、裁判所に判断を委ねることにし、弁護士に委任して民事訴訟の手続きを進めた結果、市長は「きょう付で提訴した旨の報告を受けた」とした。

 一方、刑事捜査に対しては、すでに警察に領収書控などの関係資料を提出しており、「引き続き、1日も早い事態の収拾に向け、全面的に協力していく」と明言。

 また、扇田病院での収納金管理厳正化に向け、レジスターの操作者履歴や、つり銭機の稼働履歴などを確認できる「収納POSレジシステム」を今月20日に導入し、セキュリティの強化を図ったと報告した。

 この問題については、初日の本会議終了後の全員協議会で議会に経緯などの詳しい説明がなされ、東北ビル管財のほか、着服を認めた元窓口業務担当の女性も提訴したことなどを市側は明らかにした。このほかの主な行政報告内容は次のとおり。

 <大館市総合戦略の進捗状況> 27年度から5カ年計画で取り組んでいる総合戦略について、4つの基本目標ごとの主な内容と今年度末での達成見込みを報告する。基本目標1点目の「健やかに次代を育む施策の推進(ひとづくり)」では子育て世代包括支援センターの設置、大規模な集客型スポーツイベントの開催などに、2点目の「支援連携と新たな地域社会の形成(暮らしづくり)」では健診の受診率向上を目的とした健康ポイント事業、地域ケア個別会議の開催などに、3点目の「地域の特性を活かした産業振興(ものづくり)」では重点戦略作物による園芸メガ団地整備、次世代経営6次産業化などに、4点目の「交流人口の拡大とAターン・定住促進(物語づくり)」では地域資源の海外や首都圏での情報発信とPR活動の実施、訪日外国人旅行者数の増加に向けたインバウンド体制整備などに取り組んでいる。

 その結果、41項目におけるKPI(重要業績評価指数)の達成見込みは、「達成」が13指標31.6%、「概ね達成」と「ある程度達成」がともに4指標9.8%で、おおむね順調に推移。計画した事業のほぼすべてで取り組みを進めており、早い段階での成果が期待される。今後も限られた行財政資源を有効に活用し、より効率的な運用を図り、少子高齢化に的確に対応しながら、人口減少の抑制と地域の住みよい環境を確保し、「持続可能なまちづくり」のため、これまでの成果を踏まえつつ引き続き新たな施策に取り組む。

<保育士確保の取り組み> 保育士不足は喫緊の課題で、今年度から新たに2つの事業に取り組んでいる。1つ目の「保育士人材バンク事業」は、将来の担い手に対して研修や就労の情報を提供するもので、現在、保育士養成校の学生など7人が登録。2つ目の「大館市私立学校協議会保育士雇用促進事業」は、同協議会のメンバーによるキャラバン隊が市内の中学・高校、近県を含めた保育士養成校などに出向いて大館市の保育環境や助成制度などをPRするもので、これまで市内14校、市外21校の計35校を訪問。保育士養成校からは、地域に残る学生が少ないことを憂慮する声が多く聞かれ、今後も県内をはじめ青森、岩手、宮城の養成校などとさらに連携を密にし、保育士の確保を目指す。

<29年の農業> 東北農政局によると、県北の29年産水稲の予想収穫量は10アール当たり556キロと前年比17キロの減少、作況指数は全県と同じ99で「平年並み」。また、JAあきた北管内の1等米比率は、今月15日現在で前年比5.4ポイント増の91.1%。本年産米の生産者概算金は、あきたこまちで昨年を2,000円上回る60キロ当たり1万2,800円となった。

 野菜のうちアスパラガスは、6月上旬の低温や7月以降の少雨高温に伴う害虫被害、8月中旬以降の低温の影響で収穫が平年より早く終了したことなどにより、出荷量が前年比約2割減に。単価は平年より高かったものの、販売額は同1割以上減少した。

 枝豆は6月上旬の低温で早生品種の生育が遅れ、出荷も1週間程度遅れた。これにより、生育が進んだ中早生品種以降と出荷時期が重なり、収穫が追い付かない状況がみられた。また、中晩生品種以降は大雨の影響で徒長傾向となり、着莢数、収量ともに減少。単価は前年比約1割高、出荷量は園芸メガ団地などの整備で作付面積が拡大したことで同約1割増となり、販売額は前年を上回った。

 トンブリは、集中豪雨や強風などで早生品種に一部脱粒被害、中生・晩生品種に一部倒伏被害があり、出荷量は1割減の見込み。「地理的表示(GI)保護制度」に登録された「大館とんぶり」は、ブランド化を図るべく販売に努めており、単価は前年より1割ほど高めに推移。

 山の芋は、6月上旬の低温の影響で生育に遅れがみられ、8月下旬の肥大期初期に葉の量が確保されたが、9月の低温で葉の黄化が10日程度早まったことから肥大に影響した。これにより小玉傾向にあり、出荷量は平年を下回る見込み。

 果樹のうちリンゴは生育初期の低温・少雨の影響により小玉傾向で、成熟期の天候不良で着色不足がみられ、出荷が遅れている。ナシは、早生種の幸水が生育初期の低温・少雨の影響で小玉傾向だったものの、出荷量は平年並み。中晩生種は、小玉傾向と台風の影響もあって出荷量は平年より少ない。

<水田農業政策> 今年度の経営所得安定対策では、5月15日から6月30日までの期間中、大館市農業再生協議会を経由して1,230件の加入・交付申請があった。これらの申請に基づく支払額は、「米の直接支払交付金」が1億7,500万円、「水田活用の直接支払交付金」が戦略作物と産地交付金あわせて8億8,400万円、「畑作物の直接支払交付金」が2,800万円で、総額は10億8,700万円となる見込み。

 市単独事業の「耕作放棄地発生防止作付推進事業」では、「重点戦略作物等作付支援事業」に60経営体が取り組み、作付拡大面積は83ヘクタールで前年度比で13ヘクタール増加した。また、「飼料用米等作付支援事業」には274経営体が取り組み、作付面積は745ヘクタールで同21ヘクタール減少したものの、米の需給改善と農業経営の安定に寄与したものと考えている。

<サテライトオフィス事業の結果報告等> 4月からベニヤマ自然パーク内のコテージで実施していた「サテライトオフィス事業」は9月末で終了した。3大都市圏のIT企業などに、大館の自然豊かな環境での「テレワーク」という新しい働き方を提案したところ、「獲得企業数」が採択10団体の中で最も多い71社、「お試し勤務延べ日数」が2番目に多い322日となるなど、大きな反響を得た。

 また、WEBデザインやシステム開発、映像制作などさまざまな業種の227人にお試し勤務をしてもらい、温泉、郷土料理、秋田犬とのふれあいなど「おおだて満喫体験」の情報がインターネットやSNSで発信されるなど、大館のPRにも大きく貢献したものと考えている。今後は誘致候補企業に対してフォローアップをしながら、「大館版誘致戦略」に基づき、オフィス候補地の選定や運営方法の検討、国の支援メニューを活用した施設等の整備など誘致に向けた具体的な取り組みを推進するとともに、IT人材を育成、確保する「人づくり」、サテライトオフィスの受け皿や情報交流の中核となる施設を整備する「場所づくり」、大学卒業者やAターン希望者などに新たな職種を提供する「仕事づくり」にも取り組みたいと考えている。

<総合病院での医師臨床研修マッチング結果> 医師臨床研修マッチングは、16年度から導入された新医師臨床研修制度の実施に伴い、研修希望者と研修病院とを効率的に、かつ透明性を確保して組み合わせるためのシステムで、今年は10月に決定された。県内では定員に満たない病院もある中で、総合病院への第1希望応募者は10人、競争率1.25倍と、県内トップとなり、最終的には募集定員8人に対して8人が決定し、27年から4年連続のフルマッチとなった。これにより、30年度の臨床研修医は1年次8人、2年次7人の計15人の予定。今後も、地域医療を学ぶ研修医や若い医師の成長を応援する取り組みを推進し、さらに各大学との関係づくりに努めながら、医師不足の解消や医師業務の負担軽減につなげたいと考えている。 (午後3時)